SPECIAL - 坂本真綾(OP担当)コメント

坂本真綾(OP担当)コメント公開日 2011/10/14
聞き手・文:日詰明嘉

『ラストエグザイル-銀翼のファム-』の主題歌となる坂本さんの新譜『Buddy』は、School Food Punishment(以下、SFP)による作曲ですが、このコラボはどのように?

坂本 今回の主題歌を作る際に、スピード感と疾走感をイメージしました。そこでSFPの名前が上がったんです。私も元々SFPが好きだったのでお願いしたところ、快く引き受けていただきました。提供していただくにしても、私に合わせることより、SFPがいつもやっている音楽の世界そのままにコラボしていくのが良いと思い、そのようにお願いしました。

SFPは今年の3月から「2ndフェーズ」と表明し、方向性に変化をもたらしましたが、受け取った楽曲について坂本さんはどのように受け止めましたか?

坂本 どちらかというと、それまで私が知っていた(1stフェーズの)SFPのイメージに近いかなと思いました。ちょうどバンドの転換点・リスタートのタイミングだったので、こういうコラボにもチャレンジしてもらえたのかなと思います。

今回は演奏も彼らが担当している中に飛び込んでいく状況でしたが、どんな経験でしたか?

坂本 自分がずっとソロでやっているので、どんな感じなのかすごく興味がありました。彼らを見ていると、ずっとみんなでやってきている空気感が想像以上でした。オケを録っている時も一緒にいましたし。私自身、不思議なほど自然にSFPとのレコーディングに入っていけましたね。だから、あまりよそに遊びに行った感じもなく、想像以上のフィット感で、いつもの自分のままに歌えました。『Buddy』はすごくトリッキーなメロディだったりするので歌っていてもすごく面白いですし、楽しい経験でした。今回はSFPのボーカルの内村友美さんがコーラスで参加してくれていますし、これまでの私の楽曲にストリングスが多いというイメージから、江口亮さんがすごく複雑なストリングスのアレンジを加えて下さって、よりスピード感が出てカッコイイ仕上がりだと思います。弾く方は難しそうですけど(笑)。

今回、坂本さんが書かれた『Buddy』の歌詞は、すごく作品に寄り添ったイメージがあります。どのようにイメージをふくらませて書きましたか?

坂本 脚本を全話読ませていただいて、そこから聴こえてくる声や想像の中でこの世界観で私なりに感じたことを反映して作詞をしていきました。いちばん心をつかまれたのは、スピード感やふたり一組で飛ぶシーンです。絵のイメージが浮かんできて、攻めている印象の楽曲になりました。「きみの翼になる」というワードは実際に出てくるセリフですし、ファムの視点のようでもあり。一緒にバディを組むジゼルの視点のようでもあり、いろんな風にとらえていただければと思います。

ちなみに、主題歌ではなく、坂本真綾のいちシングルとして『Buddy』はどのような位置づけになりますか?

坂本 ここまでアップテンポなシングルというのは、ちょっと久しぶりかなという気がします。漠然と、次のシングルはアップテンポでインパクトが強い楽曲がいいなという思いはあったので、とてもいい巡り合いだったと思います。ちょうど去年がデビュー15周年でしたが、その1年間が終わっても落ち着かずに、むしろ新たなスタートの気持ちで作っていたんです。そういう、前に進みたいという自分の中での意気ごみにシンクロしていると思います。

この秋は、もう1枚のシングル『おかえりなさい』があったり、コンセプトアルバムの発表や5daysのライブなど、かなり活動が活発ですね。

坂本 確実に去年より忙しいですね(笑)。大事な節目にみなさんと一緒に盛り上がってたくさんのことにチャレンジできたのはよかったんですけど、それで満足するのも、もったいない。15周年で得たものがいっぱいあるので、それを次に活かしていきたいという気持ちもあります。今まで私の歌を聞いたことがある方は、『Buddy』で新鮮な部分を楽しんでくれると思います。また、アニメの主題歌ということで、これをきっかけに知ってくださる方との出会いも楽しみにしています。アイルランドで撮ったジャケットも、荒野のゴツゴツした風景が曲の雰囲気に合っていて気に入っているので、ぜひそちらも見ていただければと思います。

最後に質問です。坂本さんにとって「LASTEXILE」とはどんな作品ですか?

坂本 私、作詞するときに声優さんたちよりも先に最終回を読んでいるぞ?(笑)。非常にストーリーやキャラクターに引っ張ってもらって、新しいきっかけをもらいました。気に入っているところはいろいろあるんですけど、最初から「未開の領域」という言葉が自分の中でキーワードになって、まだ誰も知らない何かに挑んでいく決意をあと押ししてくれれるような曲になったと思います。そういう意味で、『ラストエグザイル-銀翼のファム-』はいつも以上に熱い言葉を引っ張り上げるきっかけになった作品ですね!